
字が書けないのですが、手続はできるのでしょうか?
高齢や病気の影響で手が不自由となり、字が書けない方がおられ、さまざまな手続ができないのではないかと心配される方があります。
結論を申し上げれば、字が書けなくても、ほとんどのことはできます。
自筆でなければ無効となる手続は、数えるくらいしかありません。
たとえば、不動産を売却しようとして、売買契約書に署名できなくても、住所と氏名を契約書に印字してもらい、そこに実印を押せば十分です。
契約相手に納得してもらえるならば、住所と名前は、代筆してもらってもかまいません。
契約は、口約束でも成り立ちますから、後で言った言わないにならないために、約束したことを書面にまとめておくためにつくるものが契約書です。
つまり、もっとも大切なことは、意思能力、判断能力です。
当事者の意思にもとづいて、契約したかどうかが重要で、認知症や精神疾患で、判断能力が下がっている方がした契約が無効となることもあります。
遺言書は、字が書けなくても、公正証書遺言であればつくることができます。
金融機関では、お金を引き出す伝票は、口座名義本人が自署しなければならないとのルールがあるところがあり、代筆では断られてしまいます。
そのため、自筆できなくても引き出しができるように、キャッシュカードを準備しておくことも有効でしょう。
特に、定期預金は早めに整理しましょう。
シニアの皆様は、貯めることよりも、使うことを考える年齢です。定期預金は、使うことを考えれば不便です。
普通預金にしておけば、キャッシュカードで引き出すことができます。
年齢とともに、からだや頭が衰えるのは当たり前のことです。
今は、それらに対して、さまざまな準備ができます。対策ができます。
終活は、認知症になる前に済ませましょう。
投稿者プロフィール

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昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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