認知症に備える

高齢者のうちの5人にひとりは認知症になると言われています。

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)まで含めますと、3人にひとりとも推計されています。

一方で、日本人のふたりにひとりはかかると言われている癌と比べますと、癌への備えは早くから医療保険に入るなど、準備をされている方が多くなったように思いますが、認知症への備えは、まだほとんどの方が取り組まれていないようです。

認知症対策のコンサルタントとしてご活躍されている司法書士の村山澄江先生の新著を拝見しました。

中澤まゆみ、村山澄江「認知症に備える」(自由国民社)

私どもの司法書士事務所では、遺言の相談をしたい、成年後見の相談をしたい、家族信託の相談をされたい、というご質問をいただくことも多くあります。

その中でも、本人ではなく家族から「急いでやりたい」ということばを聞きますと、私どもは、なんとなく、ご本人が認知症になっていて、進行しているのではないかということがピンときます。

この段階では、遺言をつくったり、家族信託をすることが難しい場合がほとんどです。

「急いでやりたい」、となる前に「もっと早く」相談をすればよかった事例です。

この書籍にも、認知症とはどのような状態になることなのかが詳しく記されていますし、認知症の高齢者を支える仕組みについても多くの事例が示されています。

なにも準備をしないまま認知症が進行してしまい、ご本人が財産管理ができない状況になってしまえば、成年後見制度を使うことになります。

国の制度ですから、頑丈で、財産を守ることに関しては優れた制度ですが、一方で、本人や家族の心情、運用などを考慮すると、四角四面で使いにくいという印象をお持ちになる方もあります。

元気なうちに認知症への備えを進めることで、遺言、任意後見契約、家族信託など、さまざまなメニューから本人と家族にとってふさわしい方法を考えることができます。

認知症への備えも、保険のようなものです。

たとえば、からだを動かしたり、食生活に気をつかったり、コミュニケーションをとったり、趣味に没頭したり、日頃から認知症にならないような行動を勧められますが、もはや、認知症にならないようにすることは無理だと考えています。

それよりも、認知症になっても困らないような準備をしておくことが大切です。

準備と入っても、最初から難しいことをする必要はありません。お金がかかることばかりでもありません。

自分が忘れてしまっても家族が困らないように、財産を整理することや、メモにまとめておくことからやってみましょう。

介護が必要になったら、どこに相談にいけばいいのか、どのような施設を利用したいのか、調べておくことや家族と情報共有しておくこともできます。

おひとりさまや、家族が遠くに住んでいる方は、身の回りのことを誰にお願いするのかも考えておかなければなりません。

認知症に対して、医療、介護、財産管理、意思決定がどのようにかかわって、支えられるのかということが、現場の目線で、多くの提案がなされている良書でした。

認知症は、他人事ではありません。

このまま人数が増えれば、行政も全員を救うことができません。

いかに、自分で備えることが大切であるか、説得力のある書籍として、紹介させていただきます。

投稿者プロフィール

司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
>「もっと早く相談すればよかった」

「もっと早く相談すればよかった」

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