相続放棄をしたものの、亡くなった方の名義の建物が空き家になったまま残っています。
建物の管理をする必要があるのでしょうか。また、いつまで管理をすればいいのでしょうか。
(相続の放棄をした者による管理)
第940条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。2 第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに第918条第2項及び第3項の規定は、前項の場合について準用する。
民法
相続放棄をしても、次に相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、管理を継続しなければなりません。
そのため、他の相続人や相続放棄によって新たに相続人となった者に対して、相続放棄をした旨を伝え、管理を引継ぐまでは、引き続き管理をする義務があります。
相続放棄によって、他に相続人がいない状況になった場合には、相続財産管理人の選任が必要となり、相続財産管理人に財産を引き継ぐまでは、管理の責任を負うこととなります。
なお、賃貸住宅で、大家さんの相続人がいない場合には、亡くなった大家さんに相続財産管理人が選任されるまでの間、借主は、賃料を供託できるとされています。
不要な空き家を相続した場合に、相続人が順番に相続放棄をしていったとしても、最後のひとりが、相続財産管理人の選任を申し立てることになるほか、その管理責任を負わなければなりません。
売れない、解体する費用がもったいないなど、さまざまな事情がありますが、放置することは許されず、行政から指導を受けることもあります。
不要となった建物は、速やかに売却、解体、賃貸物件への転用をするように動きましょう。
長い期間放置することで、価値も下がってしまうほか、近隣にも迷惑がかかります。
風雨災害で、屋根瓦や窓ガラスが飛散して、近隣の住居や車に損害を与えてしまうことがあるほか、漏電による火災も発生しています。
もっとも、誰も引き継ぐ予定のない家屋は、生前に、どのように処分をするべきかを家族にお伝えいただき、目処をつけておくことも重要です。
生前、死後の空き家のご相談も承ります。ぜひ一度、グラーティア司法書士法人へご相談ください。
投稿者プロフィール

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昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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