お宝鑑定に見る相続の秘訣

私は、古美術品には興味があって、美術館へ出向くことが好きです。

もっぱら見るのが専門で、蒐集をすることはありません。置き場にも困ってしまいますから。

古畑

そう、宝物なんて物は本人にとっては大事でも他の人から見れば何の価値もなかったりするんです。

こんながらくたでも私には大変大事な思い出が詰まってるんです。10万積まれたって人には渡せません。100万だって…100万ならちょっと考えます。

少し古いのですが、古畑任三郎第2シリーズの第7話「動機の鑑定」という作品があります。

好きな話なので、何度も見返しておりますが、トリックだけではなく、「ものの価値」というものがいかなるものかということを犯人とのやりとりの中で重厚に描かれた名作であります。

春峯堂

なるほど、慶長の壷には確かに歴史があります。

しかし裏を返せばただの古い壷です。それにひきかえて、いまひとつは現代最高の陶芸家が焼いた壺です。私ひとりを陥れるために、私ひとりのために、川北百漢はあの壺を焼いたんです。
それを考えれば、どちらを犠牲にするかは…物の価値というのはそういうものなんですよ、古畑さん。

ところで、長寿番組である「開運!なんでも鑑定団」という番組があります。

お宝にまつわる悲喜こもごもは別として、この中でのやりとりが実に相続という観点から象徴的な場面があります。

自分の持ち物を過大評価する

自分が大枚をはたいて手に入れた物ですから、自信のないことは口走っても、腹の中では高く評価しているものです。

相続の場面においては、特に不動産についてこの点を指摘することができます。

現金や株式は、客観的に数値化できますが、不動産については査定してみなければ価値はわかりません。

自分では使いみちのない土地や空き家を生前に処分することを勧めてみても、なかなかご納得されずに、持ち続けてしまう方も多くおられます。

不動産は縁なものとも言われます。

価値があってもなくても、相手が見つからなければ、持ち続けることになります。その時期も重要になってきます。

いざ売却しようにも、本人が病気で入院してしまったり、認知症で介護施設に入ってしまったりすれば、進めることができません。

調べてみますと、社会的地位のあった高齢者の方ほど過信する傾向にあるほか、情報に乏しい人ほど、過大評価しがちであるそうです。

親子の価値観のズレ

「もし、お宝が高額の鑑定結果だったら、どうします?」とたずねられると、売り払って海外旅行に行きますと答える子どもたち。

ここにも相続対策のエッセンスがあります。

親が良かれと思って取り組んだ生前対策や節税対策が、子どもたちにとっては望んでいないことがあります。

よくある例ですが、相続税対策のために、空き地にアパートを建設する方がいます。

しかし、子どもたちは親の死後、アパート経営と借金を引き継ぐことになります。これに対して、子どもたちは、相続税は払っても、現金を多く残してほしいと考えることもあります。

親の大切にしていることでも、子どもたちにとっては重要性や優先順位が低いという象徴的な事例であると考えます。

家族会議の重要性

終活をはじめるときや、生前対策にとりかかるときに、まずやるべきことは、財産の棚卸しをすることです。

良い話を聞くたびに、一部分だけつまみ食いをするような相続対策は、どこかに矛盾が出てきて、壊れます。

財産の棚卸しをして、財産一覧表をつくって、全体を把握してから進めるべきことです。

また、親子間の意識のズレを発生させないためにも、家族会議が重要です。

先ほどの事例のように、親の考えが、子どもたちにとって最適とは限りません。

あくまでも、子どもたちの顔色をうかがい過ぎず、親が主導で進めていくことですが、その真意をしっかりと子どもたちにお伝えいただきたいものです。

相続は、もっとも身近な問題です。誰にも公平に訪れるものです。

しっかりと備えをして、次の世代に円滑に引き継いていただきたいと思います。

投稿者プロフィール

司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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