分けやすい財産、分けにくい財産

相続の話をしますと、うちには関係ない、まだ早いとの反応を示される方が多くあります。

その理由は、うちには財産はないから。というものがほとんどです。

果たして、その考え方は、正しいのでしょうか。

相続の手続は、5億円を残そうが、1円だけを残そうが、実はやることは変わらず、同じだけの手間がかかります。受ける側からすれば、できるだけ受け取りやすく、準備をしていただきたいと思うものです。

財産を、分けやすい財産と、分けにくい財産という視点で区別して、整理してはいかがでしょうか。

分けやすい財産

預貯金、現金は分けやすい財産です。

株式や債券などの有価証券も、比較的、換価しやすく、分けやすいと考えます。

分けやすい財産は、後回しにしても、なんとかなることがほとんどです。

ただし、どこの金融機関に口座をもっているかは、家族にはわかりませんから、どこかにわかるようにメモをしておいてほしいものです。

最近では、インターネットで銀行口座を管理され、通帳がない金融機関も増えてきています。

なお、どこに口座があるのかを、生前に共有しておくことが重要となっています。

分けにくい財産

不動産、車、自社株、家財道具、農機具、機械設備、お墓、借金は、分けにくい財産です。

亡くなってから、誰が引き継ぐのかを話し合って決めるのは、酷なことです。

引き継ぐならともかく、いらないものの押し付け合いは、めずらしいことではありません。

いずれにしても、のこされた家族にとっては、前もって、整理していただかないと困ります。

分けにくい財産は、できる限り、分けやすい形に変えておくことです。

持ち家の方は、自宅を誰が引き継ぐのかを生前に話し合っておきましょう。

また、山林や別荘地を所有している方は、家族と話し合って、必要がなければ、生前に売却を進めていただきたいものです。

家財道具や衣服なども、頃合いを見て、生前整理をなさってください。自宅の残置物の撤去に、100万円以上かかることもあります。

亡くなった後に、家族が片付けるのは、精神的にも、肉体的にも、金銭的にも、大きな負担となります。

相続する方からすれば、たまったものではありません。ただ、困るだけです。

車も同じことです。

最近では、高齢ドライバーの交通事故も増加するほか、認知症の方が車を運転するような危険なこともあります。

免許証を返納して、売却処分を進めましょう。

会社を経営されている方は、元気なうちに、自社株を次世代に引き継ぐ準備をしなければなりません。事業承継をするには、時間も費用もかかります。

次の社長に引き継ぐのか、自分の代で廃業するのか、経営者の最後の務めととして、向き合ってください。

また、個人事業主の方は、会社でつかっている機械設備、農機具、商品在庫など、これらは個人の財産として、遺産相続の対象となります。ゴミ箱ひとつ、誰が相続するのか決めなければなりません。

個人事業主として経営をされている方で、次の世代に引き継ぐ予定の方は、相続という観点から、法人化することもおすすめします。

後回しにしないこと

私の死んだあとのことなんて、知らないよ。適当にやっておいてよ。

これは、古いですね。

こどもや孫に迷惑をかけたくないと、自分が元気なうちに、始末をつけておく時代です。誰もが、終活をすることが当たり前になります。

うちには関係ないと、見て見ぬ振りをすることが、のちに家族の間でもめごとの原因となります。

せめて、分けにくい財産だけでも、整理をしてもらうことで、家族の負担は軽くなります。

まずは、ご自分の財産を眺めていただき、分けやすいものと分けにくいものに、区別をするところから始められてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。商業・法人登記を主に担当し、事業承継やM&Aに関与するほか、中小企業向けにウェルス・マネジメントを深め、積極的に提案している。また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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