予防法務の大切さ

数か月ぶりに緊急事態宣言が解除されました。コロナウイルスの影響により、厳しい経済状況が続き、先行きについては持ち直しが期待されるものの、依然として不透明な状況にあります。

ワクチン接種も進み、いよいよ飲み薬も承認されるようですが、コロナウイルスによる騒動も少しずつ落ち着いてくるものでしょう。

問題が起こったときにすみやかに対処することや、問題を最小限に抑えるための予防の大切さは、法律の世界でも共通するところがあります。

もめごとが起こって、話し合いで解決が難しい場合には、裁判手続を利用することが考えられます。しかし、裁判をするには、長い時間と多くの費用がかかります。

代理人である弁護士や司法書士に払う報酬は、自腹です。

また、裁判に勝ったとしても、確実に回収できる見込みがないのであれば、気軽に裁判手続を勧められません。泣き寝入りですか、と憤慨される方もおられますが、回収見込みのない裁判を勧めることはいたしません。

思うように進まなくなったり、争いになったりしてから慌てるよりも、そのようにならないように予防にコストをかける方が、結果として安上がりです。

私どもが会社からご相談をいただいたときに、前提となる情報を聞き取りいたしますと、あいまいなことが多くあります。

誰に決裁権限があり、業務の責任者や業務フローはどのようになっているのか、はっきりしません。

このあたりを指摘しますと、「うちみたいな小さい会社には、そんな立派な仕組みはありません」と言われるのですが、中小企業こそ、ガバナンスやコンプライアンスを強化する必要があると考えます。

なぜならば、役員をはじめとして主要な幹部に創業者一族が多く、監督機能が弱くなる傾向があります。また、創業者のノウハウや人脈に依存する傾向があり、替えが効かず、事業の継続性が十分に担保されていないことがあります。

事業承継を考えるときに、このあたりが支障となることがあります。

役員が場当たり的に問題解決をしていると、再発防止策が不十分であるほか、仕組みが整備されません。互いにかばいあい、不正の温床にもなります。

後継者がいない、後継者が育たないと苦労されている経営者を見かけますが、会社の後を継いでもらいやすくしていますかと問いかけます。

ヒト・モノ・カネを順番に整理し、ポイントを洗い出しましょう。

働き方改革、採用、賃金、未払い残業代、労災などのヒトの問題はいかがでしょうか。

設備投資、取引先との関係、業務改善などのモノの問題はいかがでしょうか。

借入金、売掛金、資金繰りや事業計画などのカネの問題はいかがでしょうか。個人の財布と会社の金庫を公私混同するようなことは言語道断です。

会社の文書管理も重要なことです。

定款や議事録がないために、現在の会社の状況がはっきりしないことも問題です。過去に起こった問題を繰り返すのは、記録を残して、ルール化しておかないためです。

株主が判然としない会社もあります。万が一、会社でお家騒動が起こった場合に、解決することが難しくなります。

予防の大切さを理解し、次の世代が引き継ぎやすい会社にしていくことが求められています。

とりあえず引退するまでは平穏に、とあらゆる問題を先送りして逃げ切りをはかり、後継者に押し付けてしまうことは、絶対にあってはならないことです。

紛争の予防も業務効率化につながります。盛んに言われておりますDXは、単なるIT化の推進ではありません。

会社経営が持続できるように、最後の恩返しと思って、事業承継にも真剣に取り組んでいただきたいものです。

投稿者プロフィール

司法書士 野田啓紀
司法書士 野田啓紀
昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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