遺言書を作られた方は、これをどこに保管しているのでしょうか。
大切な書類です。
また、自分が亡くなる前に、誰にも見られたくないと考える方もあるでしょう。
大切な財産を、争うことなく、子孫に譲っていきたいという思いで作られるもので、実際に使うところを想定した準備までしていただきたいものです。
しかし、どこにしまってあるのか、誰にもわからない遺言書は、最後まで発見されないことがあります。
公正証書遺言であれば、見当たらないときや、紛失したときでも、公証役場へたずねることで、保管されている原本から、再発行していただけます。
自筆証書遺言では、紛失し、破棄・汚損してしまったら、復元することができません。
財産を譲る相手方には、遺言書をどこに保管されているのか、ぜひお伝えしておいてください。
その際、遺言書は絶対に貸金庫にしまわないでください。
亡くなった方の貸金庫を開ける手続は、とてもたいへんです。
遺言書が入っているはずだから開けたいと銀行へ行っても、相続人全員の同意がなければ、開けさせてくれないこともあります。
一部の相続人に貸金庫を開けてしまったために、中身を抜き取られた等の親族間の紛争に、銀行が巻き込まれるのを防止するため、かなり固い手続となっています。
本来なら、遺言書に基づいて、遺産をもらった方が単独で手続をすることができる予定であったのに、貸金庫を開けるためだけに、亡くなった方の相続人の調査をし、この全員の同意を得なければなりません。
争族にならないように遺言を書いたのに、これを開ける手続の中で、別に争いに発展してしまっては、何の意味もありません。
このようなことを避けるために、通常は、貸金庫を開ける権限を遺言書の中に定めておきます。これさえあれば、単独で貸金庫を開けることができます。
遺産をもらった方にとって、遺言書さえ見られれば、単独で貸金庫を開ける権限が証明できるのに、その遺言書が貸金庫の中にあるという堂々巡りになってしまうものです。
これでは、何のために遺言書を作成したのか、意味がなくなってしまいます。
このようなことにならないように、しまう場所には気をつけたいものです。
投稿者プロフィール

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昭和56年 名古屋市生まれ、京都大学法学部卒業。
大学卒業後、複数の上場企業の管理部門にて、開示業務、株主総会運営、株式事務を中心に、IR、経営企画、総務、広報等に携わる。
平成26年司法書士試験合格後、名古屋市内の司法書士事務所勤務を経て、平成30年10月、司法書士野田啓紀事務所を開業。地元密着で、相続・認知症対策のコンサルティングに注力する。
令和3年1月、愛知県内で五つの司法書士事務所を統合して、グラーティア司法書士法人を設立し、代表社員に就任する。
ウェルス・マネジメントを深めて、個人や中小企業オーナー向けに、相続、認知症対策、事業承継やM&Aに関与する。税理士、不動産業、寺社と連携し、遺言書、任意後見契約、家族信託の利用を積極的に提案している。
また、自身も、司法書士事務所の承継に取り組む。
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